予防と健康レポート

 今回私は予防と健康レポートとして、メンタルヘルスと脳機能の関係の文献を読みそのことについてまとめたものと、ビテオを見た感想を書きたいと思います。         高次脳機能障害

 1高次脳機能障害とは

   高次脳機能障害とは、意識、注意、見当識といった基礎的認知能力の障害、記憶、視空間性能力、行為能力といった個別識認知機能の障害に加えて、前頭葉損傷による障害、右半球損傷による障害がある。それら能力を担う中枢神経系は主として大脳であるが、なにをもって「高次」とするかは相対的な問題であるという。

   障害としては半側空間無視、視空間構成障害、地誌的識見当識、脳梁症候群、前頭葉症候群、右半球症候群などが加わった。近年では、意欲、注意、情動、気分の障害、さらには認知症、学習障害、自閉症なども神経学心理学の枠組みで論じられるようになった。

  2代表的な高次脳機能障害

   学術的な意味での高次脳機能障害について代表的のものを概説する。

1)言語の障害

失語とは、大脳の一定領域の病変により(以下、すべての高次脳機能障害に共通する事項である)、それまで正常にはたらいていた言語記号の操作機能が障害され、言語によるコミュニケーションにさまざまな破錠が生じた状態を言う。失語に伴うことが多い意障害に発語失行がある(失構音、アナルトリーなどとも呼ばれる)が、これは運動麻痺や運動失調がない(すなわち運動障害性構音障害がない)にもかかわらず、なめらかに発話できない障害である。そのため音が歪んだり、ぼつぼつと途切れて発話がたどたどしくなる。

失読とは、基本的な視覚障害がないにもかかわらず、病前には読めていた文字や単語・文・文章がなめらかに読めなくなる障害である。失語に伴って生じ、また注意障害や知的障害によっても生ずる。

失書とは、手の運動障害がないにもかかわらず、病前には書けていた文字や単語・文・文章を正しく書けなくなる障害である。失語に伴っても生じ、また注意障害や知的障害によっても生ずる。 

                                           

2)知覚性対象認知の障害 (失認)

     基本的な感覚障害がないにもかかわらず、視覚・聴覚・触覚・などの感覚をとおして対象を認知する能力が障害される病態を失認と呼ぶ。

視覚性失認は、視覚に障害がないにもかかわらず、物体や絵を似てそれが何であるかがわからないが、対象に触れたり対象が出す音を聞いたりするとわかり、絵を模写することは可能である。

聴覚性失認は、聴覚に障害がないにもかかわらず、聴覚性対象を認知できない状態で、広義の聴覚失認では言語音および非言語音がともに認知できない。狭義の聴覚失認では非言語音のみが選択的に認知できないとされるが、これはまれである。

触覚性失認は、基本的な体性感覚が保たれているのにかかわらず対象を触って認知することができない障害であるが、非常にまれであるとされる。

なお、味覚と嗅覚については、感覚と認識を切り離すことが困難であるゆえに、「失認」が論じられることはほとんどない。

 

3)行為機能の障害 (失行)

失行とは、運動麻痺、運動失調など運動障害がなく、行うべき行為または動作を了解しているにもかわらず、目的に添う運動が遂行できない障害である。代表的なものに運動失行と観念失行がある。

観念運動失行は、言語性に喚起が可能で社会的習慣性の高い、客体を使用しない運動を対象とし、言語命令または視覚的模倣命令によって要求された目的運動を達成できない状態である。具体的動作としては、「さようなら」などの社会的な信号動作と、「パントマイム」が含まれる。

 

4)記憶の障害 (健忘症候群)

   記憶とは、新しい建研が保存され、その経験が後になって意識や行為の中に再生されることである。記憶には、陳述できる記憶と陳述できない記憶が区別され、前者にはさらにエピソード記憶と意味記憶に、後者は手続き記憶とプライミング(潜在記憶)に区別される。健忘症候群とはエピソード記憶の選択的障害をさして用いられる用語であるが、最近は意味記憶や手続き記憶の選択障害とともに、健忘症候群の中にもさまざまなタイプが論じられるようになっている。

   健忘症候群では、一般的に瞬時記憶や知的機能は正常であるにもかかわらず、前向性健忘(すなわち発症以降に経験した新しい事実や事件を再生することの障害)および逆向性健忘(すなわち発症以前に経験した事実や事件を再生することの障害)の両者が認められる。しかし、前向性健忘と逆行性健忘が解離して現れることもある。病巣部位に対応した分類がなされることも多く、側頭葉内側部性健忘、間脳性健忘、前脳基底性健忘、さらに病巣を特定して海馬性健忘、脳梁膨大後部性健忘、視床性健忘といった呼び方もされる。

 

5)視空間性能力の障害 (構成障害)

   構成障害とは、知覚障害や運動能力自体には明らかな障害がないにもかかわらず、さまざまな構成課題に困難を示す状態であり、構成対象の部分を空間的に配置して全体的なまとまりのある形態を構成する能力の障害である。古くは視覚失行とも呼ばれ、Kleistによる構成失行の呼称が長く用いられてきたが、最近は構成障害と呼ばれることが多い。認識と行為の双方の側面に当たる障害という性格を有するゆえに「失行認」と呼ぶ考え方もあるが、その本体はいまだ不明な点が多い。実際のリハビリテーション現場では比較的多く見られる障害である。この障害があると、二次元のマッチ棒や三次元の積み木を構成して見本の形態を作ったり、図面や文字を書くことが困難になる。

 

6)注意の障害 (半側空間無視を含む)

   注意の障害には、汎性注意の障害と方向性注意の障害がある。前者はさらに、持続的注意、選択的注意、転換的注意、配分的注意などに細分されて論じられるが、注意障害を呈する病例ではこれらが重なっていることが多い。

   方向性注意の障害では、半側空間無視、無視症候群と呼ばれ、リハビリテーションの場では失語に並んで多く見られる障害である。典型的には、右半球損傷症例において左半側の空間を無視するかのごとくふるまう行動がみられ、食事のお盆の左半分を食べ残したり、左側の物によくぶつかったりする。半盲があってもなくても生じ得るものであり、視覚に限らず聴覚刺激や触覚刺激に対しても左側へ注意が向きにくい。

 

7)前頭葉損傷に伴う症例 (いわゆる前頭葉症候群)

   前頭葉損傷に関連する症状として、記憶・知性障害、発動性欠乏、感情−性格変化が挙げられるが、近年ではこれらに加えて前頭葉損傷に伴うさまざまな行動障害が明らかになっている。

   前頭葉機能障害として、@保続と反応抑制(ステレオタイプの抑制障害)、A概念の転換(心の構えの切り替え困難、柔軟性の低下)、B流幡性(語想起の障害、図形想起障害、発想の貧困化)C注意(注意の配分・転機の障害、ワーキングメモリーの障害)、D記憶(展望記憶の障害、記憶の組織化の障害、時間順序に関する障害)、E人格(発動性や意欲の低下、無関心、無表情、易疲労性、うつ状態、気づきの低下)などがある。それらの中核にあるとされる障害が「遂行機能障害」であるが、遂行機能とは「目的を持った一連の活動を有効に成し遂げるために必要な機能であり、自ら目標を設定し、計画を立てて、実行の行動に効果的に行う能力」される。

 

高次脳機能障害の仕事・職場への影響とその対応

 T.「脳外傷」者の就労支援で考慮しなくてはならない障害特性

  厚生労働省のモデル企業の報告では脳外傷者171名中、記憶障害(90%)、注意障害(82%)、遂行機能障害(75%)といった神経心理学的障害とともに、対人技能拙劣(61.4%)、依存・退行(57.9%)、固執性(46.2%)、感情コントロール低下(45.6%)などの社会的行動障害の出現を約半数に認めている。突然の中途障害があるがために、また知能面は比較的に保たれているために、そして前頭葉障害である気づきの低下もあるために、外傷以前の自身の機能、能力、社会立場にとらわれてしまって、障害とともにある自分を客観的に受け入れることができない。病識の欠如も過半数(64.2%)でみられる。

  脳外傷では脳の解剖・構造学的理由から前頭前野(眼窩野も含む)、側頭葉前極~底部、そして側頭葉内側が損傷されていることが多い。そのため程度の差であれ、(ア)遂行機能障害、記銘力障害、(イ)自己認識力の低下、自己意識性の障害、(ウ)言外にある事柄への気づきの低下や問題解決能力の障害があり、他者へのフィードバックによって行動が自己修復できないこと、(エ)情動の障害、脱抑制、そしてそこから(ア)〜(エ)の根底しばしば存在するワーキングメモリーの低下(同時処理の難しさ)や全般性注意力の低下がみられる。

  このような特徴から、就労支援で考慮しなければいけない脳外傷者の能力とは、それぞれ上記障害に対応する順に、(ア)目標を設定し、開始、実行し管理する能力、(イ)自己の欠損を認識し受け入れる能力、(ウ)回復不能な認知や行動の欠損を自ら補う能力、(エ)行動をコントロールする能力、とまとめることができる。

 

 U.仕事・職場への対応のため必要なこと

  機能障害の種類と程度を把握することは、障害の程度にあった就労を選択する、あるいは職場での説明、理解協力を得る際に必要である。また、各種神経心理学的検査に対する取り込みの様子や反応パターンから、そのものの就労場面での様子を把握することは可能である。すなわち、検査で機能障害の程度を把握すると同時に、僅差での本人の様子や反応を観察して特徴をとらえることが支援する際に必要である。

  しかし一方、たとえ知能が正常で記憶や遂行機能の障害がなくても、自身の障害(たとえば情動の障害や、言外の事柄に対する気づきの障害など)を認識し現在の地震の程度にあわせた適応的な行動のパターンを学習しなおすことができなければ、仕事を続けることは難しい。また脳炎により大脳辺縁系が損傷されている場合、あるいは脳外傷により前頭葉眼窩野が損傷されている場合は、たとえ知能が正常でも、突発的な簡怒性、攻撃的な語調、脱抑制、あるいは自身の行動の帰結を情動が伴った形でしか感じることができない障害から、適切な認がん関係を維持することができず、職務遂行ができず破綻する。

  逆に自信の障害についての気づきがある例や、情動の障害がない例は、問題遂行への動機付けがしやすく、対応行動の訓練にものりやすい。この場合、たとえば機能障害が中程度であっても、メモリーノートの活用ができれば、就労の可能性が高くなる。 

  最近の就職リハビリテーションに関する研究では、就労を完成させるのに寄与した要因を分析すると、いずれの神経心理学的検査結果も関与がなく、実際の就労場面を肯定した訓練をすることや、職業カウンセリングを行うことが成功に関与するとされ、それらを構造化したリハビリテーションの有効性を強調している。これは職業リハビリテーションに携わるものの共通した実感であろう。

  

ビデオを見た感想

  ビデオの内容で社会のストレスによりうつ病患者が増えているという内容を見て思ったことがあるのですが、通勤ラッシュの満員電車、将来への不安、職場や学校の人間関係、生活環境や騒音、家庭内の不和や子育てへの不安等、全ての人々が常に様々なストレスにさらされているといえます。自分に合った心の運転術を会得し、ストレスを上手にコントロールすることが、心身ともに健康な生活を送るために必要なことなのかなあと思いました。